ISSコラム

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2026年7月の主な脆弱性情報

Microsoft SharePoint Server 複数脆弱性 【CVSS:最大9.8 緊急】

7月の最優先事項は、オンプレミスSharePoint Serverに対する継続的な悪用に関する脆弱性でした。CERT-EUは、CVE-2026-56164(重要機能の認証欠如による未認証権限昇格、CVSS 9.8)とCVE-2026-58644(未認証RCE、CVSS 9.8)を含む複数の脆弱性が、過去の入力検証・デシリアライゼーション欠陥と合わせて悪用されていると整理しました。SharePointは文書、サイト、ワークフロー、資格情報、サービスアカウント、Active Directory連携の集約点であり、侵害後の横展開価値が極めて高いことが確認されています。

実務上、パッチ適用だけで安全と判断してはならず、外部公開されていたサーバでは、Webshell、IISログの異常、w3wp.exe配下の不審プロセス、管理者追加、機械鍵・証明書・サービスアカウントの窃取を前提に侵害評価を行う必要があります。被害が疑われる場合は、資格情報や鍵をローテーションし、既知正常イメージからの再構築も検討する必要があります。

Active Directory Federation Services CVE-2026-56155 【CVSS:7.8 緊急】

CVE-2026-56155はAD FSのアクセス制御粒度不足に起因する権限昇格で、Microsoftは攻撃での悪用を確認しています。攻撃には既存の権限が必要とされますが、AD FSは組織横断のSSOと信頼関係を担うため、管理者権限取得後はトークン署名、フェデレーション設定、クラウドサービスへのアクセスへ影響が拡大することが予想されます。Microsoft DARTが報告者に含まれることから、インシデント対応の過程で発見された可能性が高いです。

確認項目は、AD FS管理者グループの変更、証明書操作、Relying Party Trustの追加・変更、異常なトークン発行、サービスアカウントのログオン、AD FSサーバ上の不審なローカル管理者操作になります。更新後も、既に奪取された資格情報・証明書が残る可能性を考慮する必要があります。

Adobe ColdFusion CVE-2026-48282 【CVSS:10.0 緊急】

Adobeは、ColdFusion 2025 Update 9以前と2023 Update 20以前に影響するCVE-2026-48282について、限定的であるものの実際の悪用を確認しました。パストラバーサルにより任意コード実行へ至るCVSS 10.0の欠陥で、同時期の更新にはファイルアップロード、入力検証、SSRFなど複数の重大欠陥も含まれています。公開Webサーバ上での悪用は、Webshell設置、設定・JDBC資格情報の取得、内部DBや業務システムへの横展開につながります。

ColdFusion 2025 Update 10、またはColdFusion 2023 Update 21以降へ更新をする必要があります。

また、調査は、CFIDE・Webroot・一時ディレクトリの新規ファイル、異常なHTTP要求、Java子プロセス、外向き通信を確認し、封じ込めには、管理画面と不要エンドポイントをインターネットから遮断し、アプリ・DB資格情報をローテーションします。

Langflow CVE-2026-55255 / CVE-2025-3248 【CVSS:最大9.8 緊急】

Langflowは、LLMアプリやエージェントを構築するAIオーケストレーション基盤であり、モデルAPIキー、クラウド資格情報、ベクトルDB、オブジェクトストレージ、内部サービスへの接続情報を保持されやすく、7月にはLangflowの認可不備CVE-2026-55255がCISA KEVへ追加されたほか、旧来の未認証RCEであるCVE-2025-3248がJADEPUFFERの初期侵入に継続利用されたことが確認されています。AI基盤では「最新のCVEだけを直す」対応では不十分で、過去のKEV、公開範囲、シークレット配置、コンテナ権限を一体で点検する必要があります。

Langflowや類似基盤を運用する場合、コード評価・公開フロー構築エンドポイントの外部公開を避け、アプリケーションからDocker socketへアクセスさせないようにします。同時に、プロセス生成、nsenter、特権コンテナ作成、環境変数やメタデータサービスへのアクセスを監視します。

  • JADEPUFFER:エージェント型ランサムウェア
    Sysdigは7月1日、LangflowのCVE-2025-3248を起点に、LLMが偵察から資格情報探索、内部サービス列挙、横展開、永続化、データベース破壊までを適応的に実行した攻撃「JADEPUFFER」を報告した。失敗した操作を即座に修正し、自然言語による推論を含むペイロードを生成した点が、自律性の根拠とされている。
    続く7月20日の報告では、同じ攻撃者がAI/ML資産を狙う「ENCFORGE」ランサムウェアを展開し、モデルチェックポイントやベクトルデータベース、学習データなどを暗号化対象としたとされる。AIモデルは復元不能となる場合があり、従来のバックアップ戦略では対応が不十分と指摘されている。
    これらを踏まえると、AI基盤の防御には、モデルや学習データを不変スナップショットとして保存し、資格情報を短命かつ最小権限で運用し、プロセス生成や外向き通信などの挙動をランタイムで監視することが重要となる。

本コラムについて

インターネットセキュアサービス㈱(以下、ISS)が提供する脆弱性情報は、全ての脆弱性情報を対象にせず、ISSが次の基準で判断しています。

・インターネット上で悪用が確認されている脆弱性

・CVEスコアが低くても対応が必要と判断した脆弱性

・ISSが対応したインシデントの経験から危険性が高いと判断される脆弱性

なお、記載内容は全てを保証するものではありません。

ISSは、皆様のセキュリティ対策のお役に立つ情報を積極的に発信してまいります。